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by kgapk2004
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月の影・影の海(十二国記)

月の影・影の海(十二国記)_c0005235_2042231.jpgとにかく長編シリーズで外伝も多く出ているので全作に目を通した訳ではありませんが人気の高い2作(「月の影、星の海」、「風の万里 黎明の空」)は読んでみました。個人的には正統派ファンタジーの方がいいかなぁ、と思っちゃいましたがw。それでも、本作は日本発のファンタジー作品としてかなりの秀作にあたるのは間違いないんじゃないかと。ファンタジーものとは、ある意味なんでもアリで、その分意外に書きやすいジャンルであると思ってます。多くの情報やモノが満ち溢れた現代劇や、複雑な要素に対する説明を有するSF、謎解きに対するトリックや犯人の動機等を必要とするミステリーに比べれば、その技巧は以外に少ないのがファンタジー小説じゃないかなぁと(それでも、好きなジャンルなんですがw)。それでもゼロから組み立てればたいしたものですが、RPGやその時代のトレンドファンタジーものの模倣に治まってるのが、結構な数を占めているんじゃないかと。そんな中で何がものを言うかといえば、世界観の緻密さやキャラの個性の切り口の新しさとか、話の筋そのものにかかってくると思うんですが。本作はSF小説も舌を巻くくらい、世界設定が緻密で独特、さらにその世界観がアジアンテイスト溢れているあたりが、アジアの一国、日本発のファンタジー大作の名に恥じないトコロなんじゃないかと。指輪物語準拠の多くの西洋風ファンタジーとは、いい意味で差別がつけられるってことで。そういったオリジナリティだけでなく、キャラクターの心理描写、戦記物としてもかなりの完成度を誇っていて、異世界ファンタジーものとしては申し分ない完成度。にもかかわらず、個人的にはこのシリーズ、今ひとつピンとこず・・・。全体的にちょっと硬すぎるからかなぁ。ファンタジーものなら幾らか軽快さも、やっぱり欲しいのかも^^;。十二国期は冒険要素より、軍記物的な要素が強い作品だから余計そう感じるのかもしれませぬ。
by kgapk2004 | 2006-08-04 20:41 | ブックレビュー