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by kgapk2004
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サイタマノラッパー SR2

サイタマノラッパー SR2_c0005235_15362818.jpg
舞台は埼玉から群馬へ・・・今度はアラサーの女子ラッパー
なんかだんだんウォーターボーイズみたいな展開になってきたSRの2作目
失敗ライブイベント→揉めイベントが起こるとことかお約束化しつつあるし
細部の展開も前作とあえて似せてあるし前作の主人公SHO-GUNの2人も出てくるし。
しかし同時に凄く可能性を感じる映画でもありました。

今回は主役が女子5人組になったことから「重さ」は
かなり増してきてます。前作は20半ばのフリーター男子
今回はアラサー女子、人生の切羽詰り具合は年齢こそ、
そう離れてなくても
やはり後者の方が切実になってくるんですよねェ・・・

前作の2人が登場、EDで早くも次回作への予告が出ている通り
このままいけば毎年県を跨ぎながら続編がつくられていく
ウォーターボーイズ形式で各地で続編を作りながらゆくゆくは壮大な
偽史を作っていくシリーズになる可能性も見えてきました。
歴史がなければ偽史をつくり、そこに物語を発生させてしまうという方法は
(たとえば前作でちょっと出てきただけで死んでしまうタケダ先輩
今回は彼がライブした群馬のタケダイワが一部ラッパーには聖地とされており
前作と今作をつなぐ橋渡しとなり、今回の主人公らの再結成の契機にもなる)
昨今のアニメの聖地巡礼と同じ流れ
もっといえば架空の聖地をでっちあげる
「ブレアウィッチプロジェクト」方式と言えるでしょう
そこにこのシリーズはモラトリアム、地方、閉塞感という誰もが
共感を覚えやすいテーマを一貫して描く
多数の視聴者にとって地続きな世界を描くわけです。
何もない僻地に一つ一つ偽史の伝説を築いてく流れは非常に面白い。
順当にシリーズを重ねれば、インディペンデント映画界の寅さん的存在
あるいは平成ライダー的なデータベース映画となっていく可能性もあります。
PLANETSでの対談などを見ると入江監督はこの映画を作って
j-POPとコア層に寸断し、一般層とも乖離してしまった日本のHIP HOPを
このSRによる偽史とメディアミックス展開で草の根的に
広めていきたいという野望を抱いているようで
いつでもどこでもフリースタイルができ、それゆえにコミュニケーションツールと
しても秀でているラップというものに作劇の上でも非常に可能性を感じているそう
地方=ホームを過剰にアピールする文化としても性がいいってのもあるんでしょう。

地方に文化を、金はなくて映像や音は作れる、ネット時代に可能性は広がると
常日頃思っている私としてはそういう点で非常にインスピレーションを刺激される
続編となっておりました。内容自体は前作も踏まえて痛くてベターなんだけどw

一方、前作の感動はあれ一回きりだからよかったんだ!という批判も増えそう。
ただシリーズを重ねるごとにSHO=GUNの2人が顔だししていけば
まさにあの埼玉の地から伝説がはじまったということにもなるし
それはそれでまた感慨深いとも思うのですよ。
by kgapk2004 | 2011-10-23 15:37 | シネマレビュー