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by kgapk2004
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シンセミア

シンセミア_c0005235_20332238.jpg最初はなんか小奇麗な装丁が目を引き、ついでそのあらすじを読んで
非常に気になったのがきっかけとなった
「シンセミア」
とにかくつかみ所がない作品。
最初はゴッドファーザーのように神町を牛耳ってる田宮一家の隆盛を描いた
大河小説になるのか??途中の流れを見ると、事件の裏で米軍が絡んでいて後半に
陰謀絡みの特殊兵器でも絡んでくるのか??また、神町でおこった事件の数々を
ワイドショー的に追っていくサスペンス小説っぽい展開になるのか??
そのへんが最終的にどのような流れになるかは・・・実際に見てくだされ、ということでw。
とりあえず上で上げたさまざまな展開は所々で芽を出しながらひっこんでは
また別の方向へ流れ・・・とにかく物語の型に嵌るのを拒むように
こちらの期待した方向を裏切って話しが流れるので先の展開がまったく掴めない。
同時に登場人物も一筋縄でいかず、みんなどこか倫理観を失った人物ばかり。
キャラ的に、中山正と田宮博徳は登場時の様子から
主人公的ポジションに納まるかと思いきや、すぐに嫌な面やズレた面が露呈しだし
読み手が共感を覚えることを拒むかのように、こちらも歪んだ方向へ展開。
そして蜘蛛の目状にばらまかれた伏線がどのように収まっていくのかは
ほんとに最後の1ページまで予想がつかず・・・と、奇妙でつかみどころがないものの
なーぜか目が離せない小説。意味のない暴力描写や、性的描写がちっと鼻につくものの
海外サスペンスのように刺激に満ちた小説であることは確か。どこか
「ワールドイズマイン」を彷彿とさせるものがあるなぁと思ってたら
ワールドイズマインの完全版の帯に作者の阿部和重が
コメントを寄せてました。やはりなにか繋がる部分があるんでしょう。
どうも、作者によると「『シンセミア』は人物よりも「世界」に重きを置いて書いた作品。」
ということで、これに当てはめるとキャラのズレっぷりや
上記作品との類似性も割り納得できるところ。
終盤の膨大な複線が凄まじい勢いで崩壊し、収束していく展開は圧巻。
先の読めない群像劇です。お勧め。
by kgapk2004 | 2007-01-06 20:27 | ブックレビュー